鉄は熱いうちに

感想もその日のうちに(戒め)
8月28日に金ローで風立ちぬを鑑賞。

当時映画館では見なかったので最初から最後まで通しで見たのは初。

一言述べるなら「私は好きだな」ということ。というのも公開当時から好意的でない感想の方が目に付いていた記憶があるから。端的に「嫌い」というものが多くて、嫌いな人が多いなら見なくてもいいかな、なんて創作者としてはよろしくない理由で積極的に見る機会はなかったです。
ですがたまたま風立ちぬの見所として、「創作者の生き様」という視点で見ると面白いといったツイートを見掛け、それなら見てみようと気持ちが動いたのでした。

と、前置きが長くなりましたが以下に風立ちぬの感想を述べていこうと思います。
(感想書くだけなら前置きごっそりいらんやろ!とここまで書いて気付く…)

 

「美しく生きること」

その一例のようなお話でしたね。
美しい飛行機を創りたい、ただそれだけを目指して激動の時代を駆け抜けた二郎。
飛行機をつくる、それは美しい夢だけど、飛行機は戦争の道具でもあり、呪われた存在。

私は二郎さんのひたむきさとか飛行機にかける情熱的な姿勢が好きです。
仕事に対して誠実であると取るか、周囲の人間に対して薄情であると取るかで好き嫌いが分かれているんじゃないか?と思いました。
会社への忠誠って部分では実はあまり熱心ではなかったかもしれませんけど。それでもきっちり仕事をしていることには変わりはないですからね。
山奥の病院から抜け出してきた直子さんの二郎さんの側にいたい気持ちや、健気な直子さんをみて可哀そうだと泣く二郎さんの妹の優しさ、それでも直子さんを病院に戻そうとは思っていなさそうな二郎さんとか、誰が悪いということじゃないんだろうなと思いますね。
ただ時代が悪かった、それだけのことなんじゃないかと。
結核の直子さんの横で、いくら本人がいいと言ったとはいえ煙草を吸うのにはドキリとしましたが…
それも直前に直子さんに煙草が吸いたい(だから手を放して)と伝えていて、直子さんはここで吸ってと返す。
二郎さんはだめだよと言うけれど、直子さんはいいのと。そのまま素直に吸ってしまうところが二郎さんだし、そこも含めて直子さんは彼を愛しているんだなぁと思うと外野の人間はもう何も言うまい…てなりました(笑)

結局二郎さんが作った飛行機は一機として戻って来ず、きっと直子さんも亡くなって、彼に一体何が残ったのかといえば。
「ただそれでも生きること」なんでしょう。
理想を追い求めて作り続けるその過程で何を得て何を失うのか。大切なものを失っても理想に向かってもがき続けてたとえ破滅を迎えても生きていく。
創作者がなにより愛しているのはまだ見ぬ自分の夢の具現で、それが手に入るなら世界が滅んだってきっと構わない生き物だ、と。

あくまで私はそう感じたというお話でした。